名古屋市守山区 小児科 アレルギー科 予防接種

アレルギー科

  アトピー性皮膚炎

かゆみのある湿疹が、慢性的に良くなったり悪くなったりを繰り返す病気です。アトピー性皮膚炎では、皮膚のバリア機能が低下していることが分かっています。そのため、外部からさまざまな刺激(ダニ、カビ、汗、細菌など)が入りやすくなっており、アレルギー性の炎症を引き起こします。日本では5~10%のお子さんがアトピー性皮膚炎であると報告されています。さらに、アトピー性皮膚炎の存在は食物アレルギーの発症リスクの一つと考えられています。そのため、湿疹のある赤ちゃんはできるだけ早期に皮膚をきれいにしておくことがとても重要です。正しい治療を行うことで症状をコントロールして、湿疹が出ない状態にすることができます。当院ではスキンケア指導にも力を入れていますので、慢性的な湿疹やアトピー性皮膚炎がよくならないなどでお困りの方はぜひご相談ください。

  診断・検査

アトピー性皮膚炎の診断は、かゆみを伴う湿疹の既往や皮疹の分布・性状、アトピー素因(アレルギー疾患の家族歴、血液検査でIgEが高いなど)から総合的に診断します。血液検査(特異的IgE抗体検査)により悪化要因(ダニ、カビ、ペットなど)を調べることで、悪化因子の対策に役立つことがあります。

治療

アトピー性皮膚炎の治療は、①薬物療法(皮膚の炎症を抑える治療)、②スキンケア(皮膚を清潔に保ち、うるおいを保つこと)、③悪化因子の対策(環境中の悪化因子を見つけ、可能な限り取り除くこと)の3つが基本となり、どれも欠かすことができません。

1 薬物療法

薬物療法の中心は、ステロイド外用薬で皮膚の炎症を抑えることです。ステロイドを塗ることに抵抗(不安)がある方もいらっしゃると思いますが、正しく適切に使用すれば安全でとても有効なお薬です。「ステロイドを塗っているけどよくならない」、「ステロイドを塗ったら一時的によくなるけど、やめるとすぐに悪化する」といった話も聞きますが、それはステロイドが効かないわけではなくステロイドの使い方に問題がある場合がほとんどです。ステロイドの正しい使い方に関しては、外来でしっかりと説明・指導いたします。

ステロイド外用薬の使用法には、プロアクティブ療法とリアクティブ療法があります。 プロアクティブ療法は、皮膚の炎症がひどい時だけでなく、つるつるになった後も定期的にステロイド外用薬を塗ることで湿疹の再燃を防ぐ治療です。湿疹があるときは、毎日ステロイドをしっかり塗って、皮膚を完全につるつるの状態にします。その後湿疹の悪化がなければ、2日に1日、3日に1日というようにステロイドを塗る頻度を徐々に減らしていき、最終的には保湿剤によるスキンケアのみで皮膚をつるつるの状態に維持します。この治療により、ステロイドの長期連用による副作用を避け、湿疹の再燃も少なく長期的な成績もよいことがわかってきました。

それに対して、リアクティブ療法は、皮膚の炎症がひどくなった時だけステロイド外用薬を塗り、きれいになったら保湿剤だけを塗る治療です。再燃するたびにステロイドを塗って対応します。軽症の患者さんであればこの治療でも十分に管理できます。

患者さんの重症度に合わせて、ステロイドの使い方、減らし方などを個別に指導していきます。

2 スキンケア

皮膚を清潔に保つには、全身を泡立てた石けんで洗います。皮膚についた汗や黄色ブドウ球菌などの刺激物を落とすには、お湯だけでは不十分なことが多く、泡立てた石けんを使って洗います。またアトピー性皮膚炎のお子さんの皮膚はバリア機能が低下しているため、タオルは使わず素手で洗うようにしましょう。洗った後は、できるだけ早く塗り薬を塗って、皮膚の乾燥を防ぎます。

3 悪化因子の対策

悪化因子には、汗、ダニ、ハウスダスト、カビ、ペット、食物、ストレスなどがあります。悪化因子は一つとは限らず、これらの対策だけをすぐに行っても湿疹はよくなりません。スキンケアと薬物療法で湿疹がよくなってから、悪化因子の対策を進めましょう。

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